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みやもっちゃんのひとりごと

【みやもっちゃんのひとりごと No.145】

2021-04-30
一人ぼっちの木
 私の仕事は、PCの前に座っているか、車転がしお客様宅へドア to ドア
全くもって歩き回るとは程遠い仕事なので、人より意識しないと動かない人となってしまう。
これまでも色んなコースを選び歩いて来たが、近年心躍るようなコースに巡り合え、歩くのが
楽しい。県道をちょっと下り、暗渠をくぐればそこは別世界が広がる。弧を描くかの様に、
ぐるりと長与川が流れ、その内側に田んぼが広がり、まん中をJRの2両編成の電車が走り抜ける。
人けはほとんどなく河野せせらぎ、日々の様子を変える田んぼ、あぜ道の草花、サギやかもとも
挨拶出来る距離で歩ける。1日の終わりにコリコリになった硬い脳ミソがグニャグニャ、ビチャ
ビチャと音を立て喜んでる感じがする。

 でもこの夢の場所に1ヶ所どうも気になって仕方ない所がある。川のそば田んぼのわきの所に
わずかに盛り上げた塚があり、老いた枝を頑張って頑張って広げてるかの様に榎が立っている。
この木は自然にはえたのではない様な、誰かが植えたのではと勝手に憶測。かなりの古木で幹は
途中から2つに分かれ、まるでさびたハサミの様にも見える。木の根元には、小さな野石の碑が
ひっそり祭られ花や水が供えられている。彼岸花の頃は、思わず写真を撮ってしまう程美しい
景色となる。つい先日、その周りの雑草を刈る方がおられたので声を掛け、この木の事をたずね
てみたが、返って来た言葉にびっくり!
「人柱を祀ってるんです。古い事なので詳しくはわからんね~」
人柱とは築城、架橋、堤防工事など完成を祈って神へ供える生贄とする為、人を土中や水底に
埋める事又はその埋められた人の事、あまりの事、郷土誌を調べてみることにした。
私の歩くコースの上部は「洗切」という地名がついたとの事。大雨の度大きな被害をもたらして
いたので、いつの事か年月かはっきりしないが、とにかく遠い昔の事と記してある。治水工事が
行われたその時に人柱が立てられ、それも「夫婦じゃったろう」と言う話。昔は塚に並んで同じ
かっこうの木があり、その姿をしのばせ"夫婦木”と言うようになったらしいが、片方は前後に枯れ
てしまったらしく、かわいそう、今は一人ぼっちになってしまったその木を私は毎日眺めていたの
です。心がチクンと痛みます。調べると長与川にはあと2ヶ所も人柱がありました。暴れ川だった
この川、しかし私達の生活水の源。その昔地元の人々、生活を守る為捧げた命があった事を知ると
改めてこの川、この水を大切に無駄にしてはいけないと強く思いましたし、できれば夫婦木に
戻してあげれたらとも思いました。

水災の保険もあります。
その前にハザードマップのご確認を 

株式会社トータル 長崎支店 

(宮本佐代子)
 


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