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みやもっちゃんのひとりごと

【みやもっちゃんのひとりごと No.170】

2023-06-02
バラの咲く頃
 私がまだ小学校低学年の頃、ご近所に田中
さんと言うお宅があった。それは幼い女の子
にしてみればジブリ映画に出て来そうなかわ
いい平屋。バラの頃になると、いく種類もの
バラ達で囲まれバラの館となり、そこだけ別
世界ピンク色にポ~ッと浮き上がってるかの
様で、バラのアーチも又すばらしく家の周り
はさわさわと小枝が揺れる。どうすれば、こ
んな素敵でカワイイ家になるのかと鼻をピク
ピクさせながら、小さいサヨちゃんは通りす
がりを装い、幸せになれる香りを鼻いっぱい、
胸いっぱいに吸い込みながら毎日一人観察。
まるで不審者の様にうろついた。

 それに比べサヨちゃんちはと言うと、高台
の二階建。瓦に家紋が付いてる様な純和風。
父のこだわりの家だった。なので置いてある
花といえば、大菊の盆養と言われる物や、針
金で誘引して作るしだれた菊。新聞に載るほ
どの若き菊愛好家だったようで、見学者も時
折あり、庭にも玄関にも菊、菊、菊・・・
そりゃ~もちろん香りはおばあちゃんちの仏
壇の香り(笑)小さいサヨちゃんはいくら大
好きな父でも、すくっと立ち、首元には丸い
リングを付けた大きな頭の菊。風にも揺れな
いその花姿と香りが苦手で、花の好みだけは
父が許せなかった。

 バラが咲くころになると田中さんちの様な
家で暮らしたいとよくそう思った。現在の私
のウォーキングコースは季節の移ろいを十分
に感じさせてくれる田舎道。5月中旬頃から
”のいばら”が斜面一面に咲き誇り、毎年この
様子を見るだけで、幼き頃にタイムスリップ
出来るのがたまらない。バラの花はなぜこう
も人を引き付けるのでしょう。

 バラの起源は一説によると、今から約7000
万年前とも言われ、野生の原種がチベット、
中国雲南省からミャンマーにかけて多く見ら
れ、この辺りで生まれたのではと・・・
そう、今私が見ている白い”のいばら”が原種!
7000万年前とゆうと白亜紀後半、恐竜が絶滅
するちょっと前、ヒトなどまだ存在しない頃
から咲き続けてるのだと考えると、バラへの
思いが又深くなる。

 いつの頃だろう
実家の庭の片隅に真っ赤な、みごとなバラが
咲き始めた時があった。聞くと母の為、誕生
日のプレゼントに父が植えたそうな。そのバ
ラの手入れをする優しげな父の顔が忘れられ
ない。そして私にこう言いだした。
「佐代子も自分の為に真っ赤なバラを植えな
さい!バラはいいよー」と。

父がバラに目覚めたのは亡くなる少し前の事。
もう少し父のバラを見てみたかったと。バラ
の頃になると思い出す。

うっとうしい梅雨には、

バラの香りの力を借りてみては。

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(宮本佐代子)
 
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